夏に魂が宿る霊

5/5
前へ
/5ページ
次へ
 真上から高笑い声がするけれど周りは動じたようがない。まさか、と思い真上に見上げる。  裁判官に目線を戻すと、また周りを見渡してもピクリとも動じないみたいだ。  自分自身が『死刑』宣告を受けたのにも関わらず、美少女の幽霊に目がいく。  天井からゆっくりと降りる幽霊は、はにかむ口が閉じない。 『私の願いを叶えてくれて有難う。 あの子、人の彼氏を奪っていったクセに私の葬式でニヤニヤと笑うの。 あの子の事は嫌いだったから、殺せて良かった』  長々と喋り倒した幽霊は、う〜んと言い残して消え去った。  冤罪である僕を『人殺しの犯罪者で死刑』というレッテルを貼らされた状態で、成仏した幽霊だった。 9b858f91-2d7b-4566-bc3a-3156c46f8c49 END
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加