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「・・・あんた、浴衣着られたのね。」
浴衣を着こなした少女。
長い黒髪はアップにし、簪の白い花が揺れている。
その目の前には、黒地の浴衣を着た青年がいた。帯の色は、少女と同じ黄色である。
「ふん、楽勝だわ。俺が出来ねぇとでも思ったか。」
「まあね。浴衣の着付けの動画でも見て、頑張って着ようとしているんじゃないかと思っていたけど。」
「・・・。」
「・・・男物の浴衣だって、着付け出来るから、私。男兄弟が多かったし。ちゃんと着られたからいいけど、緩んできたら直してあげる。」
「・・・クレープ奢ってやる。」
ぼそりと青年は言う。
「天空のクレープってところのがいい。」
「毎年行列作ってるとこじゃねぇか、面倒臭ぇ。」
「じゃあ、まっ裸で外彷徨ってな。帯引っ張ってやんよ。」
「俺の肥えた舌に会う店なんて、そこぐれぇだろうから、仕方ないから買ってやる。」
「ありがとう。じゃ、行こうか財布・・・間違えたアキ。」
「わざとだろ、クソザル・・・紗知。」
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