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「お化け屋敷に無理矢理誘った事よ。あんなに怖がるとは思わなくて…。」
「暗闇の中で、俺に膝カックンした事への謝罪は無しか。悲鳴を上げた俺を見て、大笑いした事も。」
「いや、あれはもう笑うしかないじゃない。っ、んふふふふ。」
「思い出し笑いすんじゃねぇよ。お前後で奢れ、りんご飴。」
「チョイスが可愛すぎる。まぁ、まずはクレープだけど。」
ようやく列が、メニューが見えるところまで進んだ。
種類は豊富で、毎年何か新しいクレープが増えていた。よく、これだけの種類を作れるものだと、感心する。しばらくメニューとにらめっこをした後で、アキに「私、いちごチョコ生クリームにする。」と伝えた。
「あんたは、何にするの?」
「あ?まぁ、無難なやつ?」
無難とは、どれの事だろうか。彼の選びそうなものを探す。メニューの中でも、とびきり目立つカラフルで大きな文字が目に飛び込んできた。
『デラックストリプルクリーム&フルーツwithチョコケーキクレープ』
(何よ、この頭の悪そうな名前・・・。)
その下に、生クリームやカスタードクリーム、全種類の果物を詰め込み、更にチョコソースと小ぶりなチョコケーキを押し込んだ、胃にもたれそうになるクレープの写真。
「…あれは、流石に食べる奴は……。」
「デラックストリプルクリーム&フルーツwithチョコケーキクレープ」
「嘘でしょ?」
食べる奴は、いたようだ。よりにもよって、紗知の連れだと言う事実に、流石に頭を抱えたくなった。
いつもの気だるげな顔で、胃に苦痛を与えそうな、糖分の固まりを受け取っている。珍獣でも見るような視線を隠さず、紗知は問いかけた。
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