森下智子 39歳

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森下智子 39歳

「好きな女が出来た。だから離婚してくれ。」 と夫は家を出て行った。 永遠の愛を誓ったはずなのに... あれは嘘だったの? 私はバツイチになった。 そして、息子は8歳になった。 〔本当の幸せって何だろう?〕 いつも疑問に思う...。 誰かに愛されること? 誰かを愛すること? はたまたお互いを想い合うこと? 愛する息子がいるだけできっと幸せ。 ——でも 何かが足りない...。 その何かは...分からない。  恋愛ドラマを見ると起きる  胸キュンか? そんな事を思う森下智子、39歳、 パート、バツイチ、子持ち。 もう恋なんて...忘れてしまった。 遠い遠い昔に何処かへ置き忘れたはず。 あの時のトキメキはどんなの? 「森下さん、一緒に休憩入りませんか?」 パート先のスーパーの1つ上の加藤さんだ。 私と同じバツイチ。 私は自作弁当だけど、加藤さんはいつも残り弁当だった。 いつもかわいそうだと思い、こっそり卵焼きを作ってきていた。   「あぁ今日も卵焼き美味しい!」 喜んでくれる笑顔を見るのが嬉しかった。 「良かった。」 「あ、そういえば...」 加藤さんが不透明の袋から何かを出す。 金色の卵6個。 「金色?凄い!初めて見ました。これは?」 「卵整理してたら不思議な卵を見つけて。」  彼は顔を赤らめながら... 「この卵で今度オムライスを作って来て欲しい...。」 ...オ、オムライス? 「迷惑じゃなかったらでいいんだけど...。」 ...ちょっと待って... なんか胸がキュン...てする。 何これっ? 「いいですよ。」 と言って金色の卵を受け取った。  ...好きとかって言われた訳じゃない。 でもなんか凄く嬉しいんだけど。
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