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卵からいつものドロッとした液体は出ない...。 その代わりに小さなミニチュアの人?みたいなのが...ボウルに居る。 「痛たっ!」 ...何これっ? 「助けて!」 目を擦ってまた見てみる...。 まだ、居る...。 「何してるの?助けてよ!」 ボウルからそのミニチュア人を救い出す。 すると...ボムッ! 若い男がその場に現れる。 ...20歳ぐらいだろうか? 顔立ちが美しい美少年だ。 「今日一日キミの彼氏だよ。よろしく!」 ———「えーーっ?!」 鳥は初めて見たモノをお母さんだと思うらしい。それと同じで初めて見たモノを彼女と思うらしい...。 恋に飢えてる私に神様がくれた彼氏なのか? 「俺はケイ。20歳。キミは?」  「智子。39歳。」 「ふぅ〜ん。」 とケイはまじまじと私を見る。 美しい顔が近付き...そっとメガネを外し... 「外した方が可愛いよ。」 とケイは笑う。 ...ドキドキドキドキ... そんな事...そんな素敵な顔で言われたら... やばい! 「...おばさんをからかわないで!」 「全然おばさんじゃない。キレイ。」 ケイのたくましい手が頬に触れる...。 胸がキュンキュンいってうるさい! 心が悲鳴を上げて...逃げ出す。 「待って、待って!智子!」 いやぁ!追いかけて来ないで...。 腕を掴まれ...後ろからぎゅっと抱き締められる。 「逃げないでよ。嫌いになっちゃうよ。」 あれっ?このセリフ...という事は 次の展開は... 「やっぱり好き...。」 ケイに強引に頬を掴まれ...唇を奪われる。 これっ!さっき恋愛ドラマで見た展開だっ! 全身が熱くなり...脈拍がやばいぐらい上がっていく...。 何年振りかのキス...。 しかも若い美しい男の唇...。 ...これが本当の幸せ? 「ダメだなぁ...もっと力抜かなきゃ。」 「はい?!」 ...まさかのダメだし? 「こんなんじゃ好きな奴逃げてくよ?」 「何それっ?」 「智子がちゃんと恋出来る様に俺が来たんだから。」 「??」 私が恋愛したいだなんて思ってたから、彼が現れたの? 「はいっ、俺を抱き締めて。」 とケイはソファに座って言う。 「そんな事急に言われても...」 何これは?恋愛の練習をしろって事? 「あの...これが何の練習に?」 「いきなり女に抱き締められたら嬉しいの! 胸キュンだよ。だから...」 ぎゅっするのはされた方が胸キュンするものなの?男でも? でも...構えられてたらどうなんだろう? ふいにされるからいいのではないのか? 「...とりあえず休憩させて下さい。 ご飯の下ごしらえしなくちゃ。」
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