〔本当の幸せ〕

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〔本当の幸せ〕

ケイとリョウありがとう。 自分の気持ちにやっと気付いたよ。 どうやって誤解を解こう? 卵から男が出てきたなんて信じてもらえないだろうし...。 よし、とりあえず明日はオムライスだ!    ケイが可愛いって言ってくれたコンタクトにして、パートへ向かう。 加藤さんがいつもより素っ気ない気がする...でも頑張らなきゃ! 「加藤さん、一緒に休憩入りませんか?」 「は...はい...。」 「...」 いつもみたいに喋ってくれない。でも... 「今日もオムライス作ったんです。食べてくれますか?」 「...気を使わなくていいですよ。」 「えっ?!」 「彼が居るんでしょ?こんな事すると彼が悲しみます。」 「あの、あれは彼では無くて...」 「もう作って来なくて大丈夫です。それじゃあ...失礼します...。」 あぁ...加藤さんが行ってしまう。 「今度は好きな奴を逃がしたらダメだよ。」 「ちゃんと好きなヤツに好きって言わないと。」 2人の言葉を思い出す。 39歳の私でも...まだ間に合う? 「待って!」 私は後ろから彼を抱き締めた。 「森...下さん?」 きっと言える。練習したから。 「加藤さん好きです。」  「信じてもらえなくてもいいです。好きって言う気持ちだけ伝えたかった...。」   加藤さんの脈拍がたくさん伝わってくる...。 抱き締めた方もやっぱりキュンキュンする。 もう離れたくないっ! 彼は抱き締めた私の手をぎゅっと握り... 「僕も森下さんが好きです。」 と呟いた。 彼は振り向き、私をぎゅっと包み込む。   うわぁ...温かい。大好き。幸せ。 智子の心は幸福感でいっぱいになる...。 自然と涙がポロポロと溢れ出す。 「ちょっと...森下さん?」  「すみません。幸せ過ぎて...涙が...。」 40歳の加藤の胸がキュンとなる。  彼は思わず...智子にキスをする...。 男はやっぱり、女の涙には弱いみたいだ。 お互いが想い合い、お互いが幸せに感じる事が〔本当の幸せ〕だと智子は思った。 終
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