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第三話
***
こんな大事件だとは小学生の僕にも理解が出来ている。
『今すぐ彼女に会いたい』
携帯で彼女と連絡を取ってしまう。
待ち合わせ場所は大田区の蒲田駅にした。神奈川寄りであり都内から脱出しやすそうだからだ。
交通機関は、計画の一部と機能をしていない。
だから僕の家に置いている自転車で、蒲田駅まで一所懸命にこいだ。
あとは彼女が都内である蒲田駅まで来てくれるのだろうか。
彼女を危険に巻き込んで最低なやつだと理解はしている。
きっと彼女の家族も都内へと行くのを止めるだろう。人に溢れた都内の割には、発令された日から人がまばらだ。
「□□く〜ん!!」
後ろから彼女は息を切らしながら走ってきた。背中にはリュックをからって「ほら」と彼女の手が彼へと伸びていた。
「おう」
二人の逃亡劇が始まる。
残念ながら僕の自転車は、蒲田駅へと着いた頃には既にパンクしていた。駅の端っこに自転車を置いていく。
大事件が起きているのも関わらずに、携帯一つで来てくれた優しい彼女。感謝してもしきれない。
都内の閉鎖がいつ解放されるかも分からない。僕はあっさりと家族より彼女を選んだ。
こんな僕を家族は許してくれるのだろうか。分からない。
彼女と二人で都内を脱出して、神奈川県まで逃げ込めればゴールだ。
真っ直ぐ走り切る二人のあとを追うように着いてくるオトナの人ら。
多分、国の刑事組織だと察した。
この閉鎖する計画の反対派などが、都内から逃亡をはかる。数え切れないほど行われていることだ。
都内の外に向かって走っていた子供をどこからか察知して、簡単に見付けられたのだろう。
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