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窓際の後ろから二番目がミヤサコ、いや、北島英人の席。
その隣。それが、くじ引きで決まったあたしの新しい席らしい。
北島の席を囲んでいる男子たちの背中。三年目にもなると学ランもさすがに痛んでくる。黒い制服の生地が、角度によっててかてかと光って見えていた。
らくだ色をした机。あたしの新しい席には端っこに大きな穴があいていた。
年季のはいった穴だった。以前ここに座っていた三年生が彫ったのだろう。こんなことをするのは男子に違いない。まったくガキくさい。
―――テストの時こういう穴って厄介なんだよな。解答用紙にシャーペンがぶすっと穴に入って刺さっちゃったりして。
そんなことを悠長に考えている場合じゃない。
どさり、カバンを机に置くと、背中を向けていた男子たちが振り返り「おお」と声をあげてきた。
「田宮じゃん」
「なんだ。お前北島のとなりなんだ」
「風邪ひいたんだって?」
「バカでも風邪ひくんだな」
次々とあがる声。笑い声。
うるさいよ。バカはお前らだ。
ややむかついて連中をにらみつけてやると、いくつかの学ランに囲まれていた北島の顔が見えた。
目が合った。
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