まっす☆ろいやー

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正義は事務所で必要最低限の事務作業を終えると、事務所を出て警視庁に向かった。 今朝の一件で事情聴取を受けなければならないからだ。 「めんどくさ」 正義は思わず呟いた。 早く帰りたいのに終わるのはいつになるのやら。 病院で一応診断書を書いてもらったが、あの無職の男からは何も取れやしない。 ため息をつくと、正義は霞が関に向かうため駅に向かった。 正義が帰宅出来たのは既に夜の0時過ぎを過ぎた時間。 それでもまだ早い帰宅時間かも知れない。 それからでも最低限の筋トレだけは意地でもこなし、きちんとクールダウンもした上であまり温度の高くない湯船にしっかりと浸かり、布団に入る。 そしてひたすら鳴り続けたスマホのバイブ音に気がつかないほど、朝起きるまで正義は爆睡した。 アラーム音が鳴り続ける事で、正義はなんとか目を覚まし、まだボーッとしたまま、ワンルーム角部屋の窓のカーテンを開ける。 そしてスマホを手に取った。 そこにはLINEやメール、ショートメッセージまで、あらゆるものの未読通知が異様な数字を示していた。 正義は単なる故障かと思い、とりあえずメールを開く。 そこには学生時代の友人や、近所のおばちゃんやら依頼者までが、昨日の事件について書いてよこしていた。 「なんで?」 画像を送ってきた者達もいたのでそれを開く。 そこにはスポーツ紙等々ででかでかと取り上げられていた正義の記事があった。 『マッスロイヤー、身を挺して女性を守る!』 『現代の正義は筋肉によって守られている!』 というような訳の分からない見出しが躍り、中学校の同級生と称する匿名の人間が、正義の当時の人柄について朗々と語っていたりした。 「誰だよ、アンタ」 画像の中を読んで知らない同級生にツッコミを入れる。 こんなのにいちいち返信してたら面倒でたまらない。 とりあえず放置することに正義は決めた。 そんなことより今日は姉御にお使いを頼まれている。 それを忘れないことの方が重大だ。 正義はいつも通りスクワットをしながらはみがきを始めた。 事務所のビルの近くについて周囲を確認する。 もしかしたらマスコミがいるかもと警戒したが誰もいない。 ホッとしながらビルに入り事務所に着いた。 いつもならもっとゆっくり来る日もあるのだが、今日は礼子に言われ事務所開く時間に来いと言われて早めに来ていた。 「おはようございます」 「おはようございます」 事務員に挨拶されたが苦笑いを浮かべられている。 既に騒ぎを知っているのだろう。 「すみません、またマスコミからかかってきた場合は」 「わかってます、断りますので」 苦笑いを浮かべたままの事務員にお願いしますというと、正義は自分の席につくと、そこには既に礼子が仕事をしていた。 「あげる」 そう言われて渡されたのは、大量のスポーツ紙。 正義はうんざりした顔で、既に本で一杯の自分の机に置かれた束を見た。 「いらないっすよ」 「実家に送ってあげれば?」 「こんなのより、無罪判決勝ち取ったとかそういう記事が良いです」 正義は弁護士としての業績で騒がれてはいないことに、悲しく思っていた。 親からメールが来ていたかきちんと確認していないが、実家の近所のおばさんからも連絡がきていたようなので既に知っているだろう。 割と放置してくれる自分の親にこの時は正義も感謝した。
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