あともう少しだけ

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僕は本当にバカなことをした。  彼女を手放すなんて…。 真夏で日が差し込んでいたある日、主人公の片寄春樹は大学受験を控えて猛勉強をしていた。 春樹には幼なじみの間宮春海がいて、春樹は彼女に想いを寄せていたが幼なじみでなかなか告白できずにいた。 そんななか、春樹は大学受験で東京に行くことになり故郷の岩手を離れることになった。 「まさか万年ビリのあんたが東京の大学受験をすることになるなんてね」 僕の顔を見ながら春海はそう言う。 「僕だってやればできるんだ!」 「いつまでも子供じゃない」 「木登りにもビビってたあんたが成長したねっ」 「なんだか私も誇らしい!」 春海は幼い頃から僕のことを見てきてまるでお姉ちゃんのように気を遣ってくれる。 僕のことを弟としか思ってなくて僕は東京に行く前に春海に告白しようとする。 「いつ行くんだっけ、東京」 「明日にはもう行くから…」 「そんなにすぐ?」 「なんか寂しくなるな」 「春海には彼氏がいるだろ?」 「彼氏…彼氏ね」 実は春海には高校2年の時からと付き合っていて学園祭の時にも一緒にいて僕は自分の気持ちを春海に伝え損なった。 「僕は所詮春海の弟だから一生春海には近づけない」 「春樹、私は春樹のこと弟だと思ってるから…」 「いいんだ、もう」 「僕は大学で新しい彼女でも見つけるよ」 「嘘つき…春樹一度も女の子と付き合ったことなんてないじゃん!」 「僕は東京に行くんだからもうこんな田舎はおさらばさ!」 僕は結局春海に告白しないまま東京に行くことになった。 春海も彼氏となにやら話をしていたいが、もうどうでもよかった。 いち早く盛岡駅に行き新幹線に乗り込もうとした。 とその時、春海が駅のホームに駆け出してきて僕の前に立った。 「なんで春海がここにいんだよ!」 「なんでって、春樹が言いたいことあるんじゃないかなと思って」 「あるんでしょ、私に言いたいこと!」 「な、何がだよ」 「いい加減正直になりなよ、春樹!」 そうして春海は僕の胸ぐらを掴んで無理やり引き寄せて僕の唇に春海の唇が重なる。 柔らかい感触が僕の唇を伝って脳に電撃が走り、僕は一瞬我を忘れる。 「私も、春樹と同じ気持ちだから…」 「は、春海!一体これは…」 「あんたホント鈍感ね、だから告白できないのよっ!」 「私も東京に行くことにしたから、説教はその後でゆっくりしてあげる」 「と、東京ってどういうことだよ!」 「私、東京の大学に受かってたの」 「あんたには言わずにいておいたんだけど、驚かせたくて」 僕は春海の真意がわからなかった、春海が何を考え何を思っているのか…。 ただ、僕には春海が真剣な眼差しで僕を見ていることだけが伝わってきた。 僕は春海を抱きしめ、そして僕からのキスを春海に返した。 5時間が止まればいいのにと僕は強く願っていた。 「私も後から行くから、絶対に受かりなさいよ」 「春海こそ、必ず東京に来いよ!」 僕は新幹線に乗って東京に行った。 その後、僕は東京の大学に合格して春海と一緒に暮らし始めた。 高校時代、全てが夢であってほしいと願ったけど、夢じゃなくなった…。
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