感じ方はやっぱりひとそれぞれ

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感じ方はやっぱりひとそれぞれ

「おい!もうカップラーメン1個半過ぎたぞ!!」 「うそだ!まだ半個くらいだよ!」 「いいや、俺は鼓動で数えていた!軽く500回だった」 声を荒らげるの孝太に、やっと身支度整いそうな美佳が言う。 「それは孝太が興奮ぎみだからでしょ。私はまだ250回も打ってない」 ぐぐぐ、と唸る孝太。 「俺はもうかなり待ってるんだぞ、いい加減にしろ」と、口をついて出そうだったが飲み込んだ。 「ひとそれぞれだもんな。鼓動も時間も……」 諦めた孝太は、深くため息をついてベッドの端に座った。 そんな孝太の気持ちなんて気にする素振りもなく、着替え終わった美佳がササッと玄関へ向かう。 「早く行こう!お昼頃上映だから、もうすぐじゃない?!」 「天気が悪いと、分かりにくいよな」 待ちぼうけを食らった孝太も、靴を履く。 そして、ふたり手を繋ぎ仲良く映画館へ向かうのだった…… ……そう、お察しの通りこの世界には時計がない。ほぼ全ての人類が体感で過ごしている。 日本人のほとんどはカップラーメンがほどよく出来上がる時間で、相手との"時間"を計るが、それすらもそれぞれによるため誤差がある。 「あと5分待って!」 と言えたら、ストレスなく過ごせるのに……とは誰も考えない。なぜなら、時間の概念がないのだから。
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