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店員が笑顔でビールを置いてった。
「父を亡くし、寂しかったから…」
「寂しければ何でも受け入れるの?ヨーコはそんな依存性の高い女だったっけ?」
気まずくて私は、ジョッキの底に残ってた生温くなったビールを飲み干す。お代わりしようか悩む。
「ヨーコの幸せが、あの傲慢な男を手伝う事だとは、到底思えないないけどね!」
ジョンにしては強い口調。
「…楽しいわよ。毎日お客さんが庭に来てくれて」
「それは、ヨーコ自身が望んだ事?」
「……」
もう駄目だ。
毎日朝が早いし溜まった疲れからか、お酒の回りが早い。何を言っても、ジョンは真一と付き合う事に反対で、反論が上手く思い付かない…
水を一気に飲み
「ジョン、ホテルは?」
「秋葉原の近く」
「ここから少しあるわね…じゃ明日も早いから解散。来てくれて本当に有り難う!嬉しかった~ジェシカおばさんに宜しく」
そう言って会計シートを取る。
「ヨーコ自身が会いに行けば喜ぶよ」
ジェシカは私が留学中下宿した家の家主だ。
偶然にもジョンの叔母さんだった。
カバンを持って会計に行こうとすると、手首を掴まれ引き留められる。
「愛情は信じる事でもあるんだよ」
余りのジョンの目力に、座り直す。
「既に信頼関係が出来上がってる2人なら、レスでも僕は何も言わない。でも其処に至らない大抵のカップルは、その都度セックスで愛情確認して信じ合える相手か、模索してくんじゃないの?」
「…そうね」
「彼はヨーコを信じてない。だからあんな態度なんじゃない?」
項垂れる。
「ヨーコ、独占欲や嫉妬は愛情表現じゃない。それじゃ、子どもがオモチャを巡って、諍うのと変わり無いから」
ジョンが言うのは、いちいちごもっとも…今は聞くのが辛い。
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