60人が本棚に入れています
本棚に追加
月齢
帰宅した我が家は暗かった。
玄関を開けながら携帯を見ると、双子達は母親からの急な呼び出しで、実家で夕飯を食べて来るとメールが来てた。
真一の部屋に行くと、既に寝ていた。
いつもより早い就寝…
ジョンの事で一悶着あると思い、気構えてたのに。
アルコールは店で提供しないが、梅酒が好きなので、私は時期になると漬けている。
台所でグラスに一杯入れて、縁側に行く。
今夜は月が明るい。
庭が昼間とは別の顔になる。
縁側で2人笑い合った日は、いつのことか。
ちびりちびりと飲む。
ジョンの言う様に本来の私は、陽気な性格だ。
腐っているのは性に合わない。
父が好きだったテッセンが少し野放図になっている。明日、支柱を買ってこよう。
…暫く真一の様子を見て、動こう。
誰が何と言おうと、私の人生だ。
私が決める。
その時の為に、今は感傷に浸ろう。
「今度、デートしようよ」
真一がそう言ってきたのは、ジョンの来訪から1ヶ月過ぎた辺りだ。
炊き込みご飯の準備をしていた私は、手を止め彼を見る。
「…いつ?」
「んーどうせならホテルで一泊したいから、曜子の体の都合?」
生理の時を外してってことなら、
「再来週の定休日の辺りは?」
「OK」
真一は鼻歌を歌いながら、タンドリーチキンを仕込んでる。
「どういう風の吹き回し?」
炊飯のボタンを押して、改めて彼を見やる。
「ん?別に。曜子と最近まともにデートしてないなぁと思って。あ!どこか行きたいとこある?」
次にさらし玉ねぎを作る為、野菜ストックから取り出しながら答える。
「水族館」
「おっ!良いね~デートの定番」
上機嫌の真一に幾らか違和感を感じたが、ジョンと飲んだ翌日から口も利かない位、不機嫌だった態度を贖う為か?
ホテルで一泊という事は、夕飯を何処かの店でとってからチェックインするのだろうが、又料理のリサーチみたいになりたくない。
だから水族館にした。
遊園地や水族館の様なアトラクション施設に併設されてる、ホットドックや焼きそばみたいな軽食を出す店でも良いのだ。
誰と食べるかが重要なのだから。
最初のコメントを投稿しよう!