月齢

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月齢

帰宅した我が家は暗かった。 玄関を開けながら携帯を見ると、双子達は母親からの急な呼び出しで、実家で夕飯を食べて来るとメールが来てた。 真一の部屋に行くと、既に寝ていた。 いつもより早い就寝… ジョンの事で一悶着あると思い、気構えてたのに。 アルコールは店で提供しないが、梅酒が好きなので、私は時期になると漬けている。 台所でグラスに一杯入れて、縁側に行く。 今夜は月が明るい。 庭が昼間とは別の顔になる。 縁側で2人笑い合った日は、いつのことか。 ちびりちびりと飲む。 ジョンの言う様に本来の私は、陽気な性格だ。 腐っているのは性に合わない。 父が好きだったテッセンが少し野放図になっている。明日、支柱を買ってこよう。 …暫く真一の様子を見て、動こう。 誰が何と言おうと、私の人生だ。 私が決める。 その時の為に、今は感傷に浸ろう。 「今度、デートしようよ」 真一がそう言ってきたのは、ジョンの来訪から1ヶ月過ぎた辺りだ。 炊き込みご飯の準備をしていた私は、手を止め彼を見る。 「…いつ?」 「んーどうせならホテルで一泊したいから、曜子の体の都合?」 生理の時を外してってことなら、 「再来週の定休日の辺りは?」 「OK」 真一は鼻歌を歌いながら、タンドリーチキンを仕込んでる。 「どういう風の吹き回し?」 炊飯のボタンを押して、改めて彼を見やる。 「ん?別に。曜子と最近まともにデートしてないなぁと思って。あ!どこか行きたいとこある?」 次にさらし玉ねぎを作る為、野菜ストックから取り出しながら答える。 「水族館」 「おっ!良いね~デートの定番」 上機嫌の真一に幾らか違和感を感じたが、ジョンと飲んだ翌日から口も利かない位、不機嫌だった態度を贖う為か? ホテルで一泊という事は、夕飯を何処かの店でとってからチェックインするのだろうが、又料理のリサーチみたいになりたくない。 だから水族館にした。 遊園地や水族館の様なアトラクション施設に併設されてる、ホットドックや焼きそばみたいな軽食を出す店でも良いのだ。 誰と食べるかが重要なのだから。
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