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闇夜≪朔≫
あんなに激しい行為をしたのに無口な真一。
佑君の言う通り、精も魂も搾り取ってしまったのだろうか。
久しぶりに渉君が来たのに、ランチタイム後の転た寝を中断されたせいか、真一は不機嫌な対応だった。
最近、真一の機嫌が読めない。
渉君は私の体調を心配して来たみたいだが、誰に聞いたのだろう。
確かに今年の夏の暑さで、夏バテ気味だ。
真一との寝室はエアコンをつけて寝てる。
それにしても渉君は、大人っぽくなった。
真一よりは中性的な顔立ちで、声はソックリだ。暗闇で聞いたら見分けがつかないかも。
彼女はいないと言ってたが、きっとモテるだろう。
そんな事をつらつら考えてたその日、夕立が来そうだったので、庭カフェをの片付けをバイトさんに頼み、夜の惣菜を真一と2人調理してた。
タコと夏野菜のマリネを作りながら、スムージー状の梨に漬け込んだ豚肉を焼いてる真一に話しかけた。
「渉君、院に行くって。知ってた?」
「いや」
「連絡取り合ってないの?」
「ああ…」
「兄弟ってそんなんだ。私は一人っ子だから兄弟がいる人達は、何でも相談が出来て羨ましいなって昔から思ってたけど」
「誰に相談したって、結論を出すのは自分だろ」
突き放す様な言い方。
機嫌が直ってない。
休憩時間を邪魔され疲れがとれなかったのかもしれないが、デート後で浮かれまくってる私とは対照的だ。
「そうだけど…それでも親族にしきゃ出来ない相談もあるじゃない」
そこで私が天涯孤独に近い身の上だと思い出したのか、真一は手を止め私を見つめ
「ごめん」
謝って欲しい訳じゃない。
以前みたいに何気ない会話を楽しみたいのに…
近頃ギクシャクしてるから、解消する為のデートじゃなかったの?
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