闇夜≪朔≫

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ゆっくりした愛撫がもどかしく、真一の名前を連呼してしまう。 意地悪な彼の指で私の中はグズグズになり、迎え入れる潤滑油が滴っているのが分かる。 おねだりしても無視。 彼の昂ったモノがあたるのに、入りそうで入らない。 思わず真一の腕に爪を立ててしまった。 焦れた想いを伝える為、彼の頭を引き寄せ思いっきり舌を絡めたキスをする。 彼も噛み付く様に応えてくる。唾液が溢れる。 腰が自然に揺れる。 堪らない。 耐えられない。 羞恥心は既にない。 「お願い、ここに入れて」 自分の指でヌルヌルとした蜜口を広げ、誘う。 真一が息を呑む声がする。 彼も我慢してたのか、最奥まで勢い良く貫かれた。 激しい抽挿にベッドが軋む。 獣みたいな唸りをあげ、腰を振る真一。 眩む様な快楽に我を忘れる。 二人同時に達した時、物音がした。 「えっ!誰かいる!?」 真一の胸元を押し、離れた。 「佑君達かな。早く帰ってきたのかも」 早く服を着ないと。 アセる私は真一との約束を失念し、急いで目隠しを外した。 目の前にいるのは…悲鳴が出た。 私が今までセックスしていた相手は、渉君だった。 頭が真っ白になる。 そこに真一が入って来た。 「ひっ!」 ベッドの上に丸まってた夏がけで、裸身を隠した。 慌てる渉君と冷静な真一。 乱れてない服装のままの真一と 急いで洋服を着て裸体を隠す渉君。 目前に立つ対照的な2人。 私は誰を咥えてた? 誰に対してよがってた? 渉君の腕についた爪痕を見れば、歴然。 真一も渉君が寝室にいる事に対して、驚いてない。 ああ… ここ数ヶ月の全てが繋がる。 私の近くに腰掛け、悲愴感さえ漂わせて真一が真剣に言い訳してる。 渉君は、兄に頼まれて始めた事たけど途中から、本当の気持ちで抱いてたと話す。 私の腕を掴もうとする真一の手が煩わしく、勢いよく振り払った。 私の心を侵す真一。 私の体を犯す渉君。 二人の顔を見たくない。 うつ向いたまま立ち上がり、風呂場に向かった。
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