6人が本棚に入れています
本棚に追加
「朔夜……朔夜っ……!」
ハルは涙を流し、傷だらけの状態で歩み寄ってくる朔夜の名を呼ぶ。
こちらに来ることを拒絶する意として首を横に振っていた。
しかし、ハルは自分が置かれている状況では駆けつけることも出来ないとわかっているため、涙を流すばかりだった。
朔夜が根の先端の位置まで辿り着くと、再び地響きが鳴る。
足元はぐらついて地面に剣を突き刺して倒れないように体を支えるのが精一杯だった。
視界に入る距離で愛する彼女が涙を流しているのに、その涙を拭ってやることも出来ない現状に悔しさ以外何を感じることが出来るのだろうか。
互いを想いあっているのにも関わらず、すれ違う二人は、愛する人を守れるだけの力を欲していた。
最初のコメントを投稿しよう!