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大好きな夏がやってきた
夏は人を活発にする。夏バテという言葉もあるが子供や若者は元気いっぱいだ。夏は若者にとって印象深いイベントがたくさんある。楽しくもあり、苦しくもあり、様々な感情が入り乱れる季節・・・それが夏だ。
海水浴、プール開き、花火大会、祭り、キャンプ等のイベントでは男女が恋仲を発展させる。相手の意外な一面に気がついたり、普段と異なる服装にドキッとしたりする。
部活動に明け暮れる学生は大会で結果が出せず涙を流したり、熱心に練習することで、この上ない充実感を得たりする。補習や追試の学生は、夏休みなんて・・・と嘆いているかもしれない。
人には色んな夏があり、みんな夏を満喫している。この物語の主人公である小野あやもその一人だ。
あやは夏がとても大好きで、いつも直哉という幼なじみの男の子と遊んでいた。直哉は少し暗い印象の子だが、人付き合いが得意でないあやとは波長が合い、学校が終われば、いつも一緒に遊んでいた。
「あやちゃん、今日は何して遊ぼうか?」
「ふふふ・・・我はどこにでも、どこまでも行けるぞ。何なら果ての山脈まで行ってみようではないか?」
あやは地元にある小高い山を指さした。実際はそんな大した山ではない。中二病の小学生の発言をまともに受けてはいけない。そう、あやは小学生でありながら既に中二病を発病している可哀そうな子であった。人付き合いが上手くいかないのは当たり前だ。もっとも小学生で中二病なのだから学年的には成熟していることになる訳だが。
「あやちゃん、勇気あるね。ボクはちょっと不安かも。」
「不安を抱く必要はない。八百万の神が我を守っている。」
「じゃあ、あやちゃん信じて遠くまで行ってみようか?」
2人は果ての山脈を目指す。これが冒険の始まりだった。
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