定期テスト

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 4番目の計算問題は式を見ても皆目見当が付かなかったので、適当にマークシートを塗り潰して問題用紙のページを捲る。  大問3には文章問題が3つ。  僕は文章問題が大の苦手だ。兄を追いかけて家を出る弟、箱から色違いのボールを取り出し続ける謎の儀式、絶え間なく動き続ける点Pなど、読むだけで吐き気がする。  全ての数学のテストに文章問題が存在するのはきっと、僕のことが嫌いな秘密結社や悪の組織の陰謀に違いない。彼らによる『活字殺人計画』は既に始まっているのだ!  しかし、僕はその巨大な計画に真っ向から立ち向かわなくてはならない。立ち向かわざるを得ないのだ。  意を決して問題文に目を沿わせる。Aさんの学校の全校生徒830人のうち、465人が男性で――――――。  その時、俺は異変を感じた。おかしい。いつもと違う。明らかに変なのだ。  解けるぞ。  文章が脳に直接届いてくる、ペンが独りでに用紙の上を走っていく、閃きが僕自身を追い抜いていく。  次から次へとページが捲られ、マークシートに黒丸が増えていく。その恐ろしいほどの疾走感が気持ち良く、僕は脳汁に溺れる。今の僕はきっと知人には目せられない笑顔をしているだろう。  ゴキブリは追い詰められて飛んだ瞬間にIQが爆発的に上昇するというが、今の僕がまさにそうかもしれない。このまま高校3年生、もしや大学まで羽ばたいていけるのではないか。  
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