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ディカプリオでも、もう少し時間をかけるだろ……。
目の前のディカプリオより手が早い(ディカプリオが何時間でベッドインするのか知らないが)は困惑しているようだった。
「覚えてないならいいですけど……何だか寂しいですね」
くぅーん、と犬みたいな鳴き声を出しそうな勢いで、めまいがしてしまった。私だって平野くん似の男との一晩を忘れたくなかったよ……。
ベッド脇に置いていたスマホが、ぴろりんと鳴った。
酔っぱらっていても、寝るときのスマホの位置は変わらないのね……。ロック画面を見ると、達也から一文、
「あと五分で帰るから、昼ごはんの準備始めててくれない?」
なんだって?
あと五分で帰る?
手の震えが止まらない。どうしよう。
頭の中が真っ白になる、とはこのことだ。30秒は停止してしまった。
「どうかしましたか?」
スマホの画面見て30秒停止した女を目前にしたら、そりゃ、どんな男でもどうかしたのかと思うよね。
「ううん。何でもないよ」
「なんでもなくないでしょう。話してくださいよ」
「話せないよ。話したらドン引きされるもん」
こんな目がきらきらとしたイケメンに幻滅されたくないよ……彼氏はいるけど。
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