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真夏の恐怖
わたしは一等航海士ミレイ、この星にきて間もない。
この星はとても暑い。地球人は夏といっている。
とても生物が生きて行くには厳しい環境の惑星だ。しかも、いっけん平和にみえるこの惑星にも思わぬ落とし穴があった。
「アメリどうしたの!」
二等航海士アメリがベッドに横たわっていた。
彼女の顔には明らかにエイリアンが張り付いているのだ。
「アメリ!」
わたしは彼女からその生物を剥がそうとした。
「シャー」
生き物は恐ろしい声で威嚇してきた。
「離れなさい」
「シャー」
生物はてこでも動こうとしない。
「スーハー……」
アメリの呼吸する音がするだけだ。
このままではアメリの命が危ない。
もしかして……。
わたしはバックパックから、あるものを削ったものを取りだした。
「こっちへきなさい」
粉末を皿に入れてさしだす。
するとアメリの顔に張り付いていた生き物は飛ぶようにお皿のカツオ節を食べ始めたのだ。
「アメリ、起きて!」
「ミレイ、あたしとっても暑くて」
「そりゃそうよエイリニャンが顔に覆いかぶさっていたんだもん」
「どうりで息苦しいと思った」
アメリは微笑みながらベッドに腰かけ、カツオ節を嬉しそうに食べる愛猫ダイアンを見つめた。
真夏のエイリニャン、熱帯夜であなたの顔面蒸し風呂にゃ。
おわり
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