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でもこういう行為はこちらの意思を確認するものではないのか。少なくとも谷さんは。もっとも抵抗すればパーメオだって引き下がるかもしれず、それは困るとばかりにしがみついてるのは私の方だ。
美しく磨かれた象牙さながらの肌がもたらす倒錯、これが世界の全てだと思えるほどに、女の私ですら幻惑させる彼女はいったい、いったい彼女は、彼女は、え?
「待っ」
彼女?
無いはずのものに違和感を感じてとっさに目を開く。体温が急降下していくのが分かる。蝶のタトゥーのキャンバスは、整ったシリコンの胸。骨格は男そのもの。
「ちょ、やめ」
「好物よ」
「?」
「アンタの名前、いただくわ」
胡蝶の夢の店主パーメオが女だって、誰か言った?
混濁する意識下で蝶が舞い立つ。遥か向こうで林檎をかじる音が聞こえた気がした。
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