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「……クッソ、全然わからねえ!」
と指先だけ出るタイプの革手袋のまま頭を掻きむしった俺に後ろから声がかかった。
「お困りですかね?」
「ファッ?!」
俺の後ろに立つんじゃねえ……つうか、誰だよ、なんでこんなとこにいるんだよ!
いつからそこにいたのか、ひょいっと軽い身のこなしで若い男が貯水タンクの上から飛び降りた。
見覚えのあるその顔。
「え……青木?」
「ようやく分かったかな? 僕もねえ、オジサンと一緒。殺し屋なの。あっ言っておくけどそれ偽名ね。薔なんて字、人名用漢字に入ってないからね」
ニタニタ笑いながらなんか言ってる青木(偽)の手元から俺は目が離せない。
「あ……あ……」
「ありえないって? う~ん、ゴメンそれはそうかも。僕のコードネームはブルーローズ。意味は……『ありえない』だからさ」
青木(偽)が向けてくる銃口が夏の太陽に照らされてまん丸く見えた。
女みてえな小型銃。
ジーパンのポケットに適当にねじ込んでたようなそんなもんで、俺は殺されちまうのか。
っていうか殺さ……え……殺されんの、俺?
嘘でしょ、いやマジで嘘でしょ?
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