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その日の夜、蛍斗くんが蛍の姿でまた眠ったら、また仙人のような人がまた現れて、
『本当に人間になっていいのか?私は今まで君の願いはできるだけ叶えてきたが、もう叶えられそうにない。つまり、ここで願えばもう二度と蛍になれないぞ。それでもいいなら私の手を握れ、、。』
そう言われて、迷わず仙人らしき人の手を握ったみたい。
理由を聞こうとしたら、頬が林檎みたいに赤くなってたのは何でだろう。
まぁ、とにかく握ったらいつの間にかベッドにいて、このままの姿の人間になってたんだって。
きっと、仙人のような人は今まで蛍斗くんを見守っていた優しい神様なんだろう、と思ったけど言うのは止めた。
それに、親はきちんといたらしい。
でも、それが中学生の姿だったから、最初は蛍斗くんも驚いて、親に聞いたら何年も眠っていたということを知らされたらしい。
植物状態っていうんだろう。
お医者さんは奇跡だと言っていたみたいだけど、それは蛍斗くんとは違う人物。
身体の本人は今天国に居て、その身体をつかってるそうだから、蛍斗くんは申し訳ない気持ちになったそう。
で、少し経って学校に行ったと。
まぁいつの間にか人間の当たり前のことは出来てたみたいだから、不自由なかったって。
凄いなぁ。
だから、人の姿でもそんなに輝いていられるんだ―――――――。
私は驚いたけど、納得もした。
そして、話終わった蛍斗くんをみると、まだ話がありそうな表情をしていた。
「まだ、何かあるの?」
不思議におもって聞くと、蛍斗くんはやっぱり顔を赤くしながら答えた。
「実はな、俺は、蛍の時何度も学校に行ったのはお前のことが気になったからだったんだ。とても綺麗な顔をしていて、心も綺麗で。何もかも、綺麗で――――。なのに、とても辛そうな顔で泣いてたから。怒りが湧いてきたんだ。」
俯いて話す蛍斗くん。私はその後の言葉を促すように蛍斗くんを見ると、蛍斗くんは話し始めた。
「自分な、美咲に人間姿の時会って、それで美咲が笑ってくれたのが嬉しくて。話すと、今でも自分の心臓の音が早くなってさ。」
え?
それって、、まさか、、?
「俺は、、今も、お前のことが。」
好き、、なんだ。
ずっと、待ち望んでたような言葉が、彼の口から漏れでた。
「う、嘘、、。嘘でしょ、、?」
蛍斗くんは、はにかみながら話す。
「本当だよ。ずっと、好きだったんだ。好きって言ったら、駄目、か?」
あぁ、私が、、、その台詞言おうと思ったのに。
全く、いつも蛍斗くんには先を越される。
…もう、その返事は決まってるよ。
「勿論。私も、、。」
笑顔で私はこう返した。
好きだったんだよ、君のこと。ずぅっと。
それを聞いて、彼は顔が赤くなりながらも川辺を歩きだした。
そして、彼はおもむろにこちらを見て、恥ずかしそうにしながら私と手を繋ごうとした。
「待って。ふふっ。」
私はそういって、いつもはしない大胆な行動をすることにした。
「えっ、な―――。」
蛍斗くんは驚き、目を見開いた。
そう、私はそっと蛍斗くんに近付いて、背伸びをして頬にキスをした。
チュッ―――――。
唇を離すと、彼は茹で蛸のように赤くなっているのがよく見えた。
…これ以上赤くなれないと思うな。
「じゃあ、行こう。」
蛍斗くんは赤くなった顔を見られないようにか、いそいそと歩き出した。
もう辺りはすっかり暗くなって、星がよく見える。
それで、、。
周りにはたくさんの小さな光。
私たちを祝福するように光る小さな星たちを見て、私たちは微笑んで、二人並んで歩き出した―――――――。
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