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それから、蛍斗くんと毎日薄暗い夕方に会うことにした。最初会ったときは暗くてわからなかったけど、蛍斗くんは学校にいたら人気者になりそうな美少年だった。少年とは思えぬ細い身体に、長い睫毛、そして整った顔に、白く滑らかな肌。
それは、遠くから見れば幼い美少女のように思えた。
蛍斗くんは、同じ学校ではなかったみたいだった。だから川辺でよく一緒に蛍を見て、一緒にお話をした。
普段蛍斗くんはずっと無表情で、最初はあんまり笑ってくれなかったけど、段々ほぐれて、たまに微笑んでくれるようになった。それは、とても爽やかで、胸が高鳴った。
私には友達はいなかったから、とっても楽しかった日々だった――――。
でも、そんな毎日は長くは続かなくて。
初めて会った日から一週間位たった時、川辺で待っていたのに蛍斗くんはずっと来なかった。
私が蛍斗くんを大声で呼んでも。
たくさんの蛍のお尻が輝いて辺りに幻想的な光景が広がっても。
いつまでも、来なかった。
蛍斗くんが私を困らせるためにかくれんぼでもしてるのかと思って、探した。
だけど―――――――――。
何処にも、居なかった。
その次の日も探そうとして、夜、また川辺に行こうとした。
でも、、。
「美咲っ!こんな時間に何処に行くの?もう寝る時間よ?寝なさい。」
その日は久々に家にお母さんがいて、そぅっと出ていこうと思ったけど、やっぱり気づかれてしまった。
その日は、泣く泣く寝床についた。
また次の日も、諦めず行こうとしたけど、お母さんは気づいて連れ戻した。
その次の日も、ずっと、、。
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