運命のふたり

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運命のふたり

「…また、会いたいんだけどな。」 私はもう中学生になった。 通っていた小学校のすぐ近くの学校で、顔馴染みの子達ばかり。 あの頃の蛍斗くんの顔は今はうろ覚えだ。 きっと、彼も忘れているだろう。 そう思いながら、ゆっくりと教室へと入った。 あぁ、、。まただ。 私の机にはマジックペンで書いた文字が書き殴ったようにあり、黒く染まっている。 死ねよ 来るなよブス このクソが… いつものことだ。大丈夫、大丈夫。 まだマシ――。 下駄箱に画鋲を置かれて自分の指を刺すことになったり、学校中にアナウンスで私の個人情報を暴露されたりするのは、今日はないから。 だけど、私の心臓は、バクバク鳴って、小さく悲鳴を上げている。 これは、いつからあっただろうか。 慣れてもいいはずなのに、全く慣れない。 もともとは、悪ふざけから始まってた。 小学生からずっと――。 これは、いじめじゃない。 だって、私が空気が読めないのが悪いんだから、、。 「ふふっ。どうしたの、美咲。机も顔も、汚ならしい。名前とは全く逆なのねぇ!」 クスクスクス,,。 ハハハハハ,,。 三原(みはら) (ゆき)さんと、取り巻きの人達の笑い声が聞こえる。三原さんはフランス人形のように可愛く、地元の大企業の社長の一人娘でお金持ち。それでいて頭も良く、学年トップの成績だ。つまり、絵に描いたような、才色兼備の美少女。 誰だって、三原さんの言うことなら何でも聞く。三原さんの足を舐めるのだって、用を足したあとの水を飲むのだって。 ずっと我慢してきた。 なのに―――。 もう、、嫌だ。 先生に言っても、自分の評価が落ちるからって何もしてくれなかった。 お母さんも、働いてる場所の社長さんがお父さんだからって、見て見ぬふり。 うぅっ、、。 何だかお腹がぐるぐるして気持ちが悪い。 なんで、私がこんな目に、、? そして、私はハンカチを取りだし、水道に行って水に浸してから何度も何度も机を拭いた。三原さんたちはそれを見て笑ってくる。 目に透明な液体が躊躇ったように溜まり、頬に伝って机にポツリと落ちた。 「誰か、、助けて、、。」 涙を流しながら、誰にも聞こえないようにそっと呟くと、教室の扉が開く音がした。
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