運命のふたり

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「先生―――。」 ゆっくりと入ってきたのは、担任の先生。 先生は、私を見ないで中へ入ってきた。 そして教卓につくと、薄く微笑んで言った。 「おはようございます、今日はよい知らせがあります。なんと、転校生がこのクラスに入るそうです。さあ、入って。」 あぁ、先生。どうして笑いながら言うの。 先生も、、。転校生も、、。 私を、独りにするんだ? 私が泣いているのを見て、笑うんだ? もうこんなの、、。 嫌だ―――――――――――。 思わず声を上げようと、口を――――――。 「おはようございます。」 新しく来た、転校生が入ってきた。 その転校生は、黒くてさらさらした、少し長いショートヘアで、美しく整った顔を持ち、少し低いが暖かみのある声を出す。 私は驚きで目を見開く。 どうして――――――――? だって、貴方は。 「なつかわ けいとです。 漢字では、『夏川 蛍斗』と書きます。これから、宜しくお願いします。」 無表情で、淡々と話す少年。 だけど、ふとちらりとこちらを見ると、あの時のように、いや、もっと格好よく、素敵な笑顔で柔らかく微笑む。 え、、、? 蛍斗くん、、? どうして、、ここ、、、に? 「夏川くんは親の都合で違う学校に通っていたそうですが、え~、『友達がいるから』という理由でこちらに通うことにしたそうです。」 友達って、、、。 つまり、私のこと、覚えてたんだ、、。 久しぶりに見た蛍斗くんは、悪戯をした子供のような表情で、私を見てにやっと笑った。 まるで、昔のように―――――。 私は、嬉しさと懐かしさでぐちゃぐちゃになり、確実に悲しくて出たのではない涙が頬に一筋流れて、机に跡を付けた。
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