運命のふたり

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蛍斗くんは私の隣に座ると小声で、 「美咲。覚えてくれてたんだな。…あぁ、あとお前、机汚れてるよな。手伝うよ。」 と言ってくれた。 やっぱり覚えててくれたんだ――。 何故だろう、蛍斗くんに言われて、冷たく縮んでた心がじんわりと広がって暖かくなった。 そのあと、蛍斗くんと一緒に、机を拭いた。 机を拭き終えたら、表面が何だか誇らしげに、ぴかぴかと光っていた。 それを見て、私が蛍斗くんに蛍みたいだねって笑うと、赤くなった頬を少し掻きながら笑い返してくれた。 「何よ、ブスの癖に。ふふふ。でもあの子、結構イケメンね、、。じゃあ、彼氏にしちゃおうかなぁ、、。」 三原 雪は二人に聞こえないようそう言って、にやりと微笑んでいた。 その顔はまるで魔女のようで、、。 その日、何も起こらず学校は終わり、二人で一緒に帰った。 前のように笑って、子供のように遊んで。 夜勝手に出歩くと怒られるそうだから、蛍は見に行けなかった。 だけど、私はまた見に行こうねって言って別れた。 夜、寝られなくて窓から外を覗いたら、蛍がぼんやりと光り、消えていった。 「蛍斗くん―――――――――。」 私はそっと呟いて、蛍斗くんのことを思い描き眠った。 何故だか、私が思い描いた蛍斗くんは、蛍――。と言って消えていったように見えた。 次の日、私はわくわくしながら教室へと向かった。あまり眠れなかったから、今日は久しぶりに早めに登校した。 今日は、蛍斗くんとどんな話をしようかな―――。 そう思いながら、教室の扉に手を掛けた時。 「夏川さんというのよね?貴方、あんないっつもぼっちでブスな子と一緒にいないで、私の彼氏になりませんこと?」 聞こえてしまった。 その声を聞いて、私は恐怖で膨れ上がった。 あの笑顔で、たくさんの人たちが私から離れていった、、。 扉の隙間から覗くと、制服のシャツのボタンをギリギリまで開け、下着と胸の一部を露出させるほか、スタイルの良さを見せつけるためか、白く滑らかな肌を腹部から露出させ、そこらの男子を確実に仕留めるであろう服装をしている三原さんが見えた。 三原さんは黒より茶に近い髪をアップにまとめて、細く艶やかなうなじが見えている。 それで蛍斗くんを前髪から薄く見える目で可愛らしく見つめていた。 短く言えばそう、婀娜(あだ)な姿をして、蛍斗くんを誘惑していた。 三原さんは細く白い人差し指で、大きく開いた胸元をそれ以上に広くしながら口を開いた。 「ねぇ、、。夏川さん?…いえ、蛍斗さん、、。遊びましょ?」 挑戦的なその目は、その後を想像させるような誘う目付き。 近くにいた取り巻きの男子たちから、ごくり、と唾を飲み込む音がした。 蛍斗くんはこちらからだと背中しか見えないが、多分、、。 私はその背中に向かって、目を閉じ願った。 お願い、蛍斗くん、、。 貴方だけは行かないで、、。 だって、私は、、。 私は、、っ! 貴方のことをっ――――――! そう強く思ったときだった。
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