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蛍斗くんは息を思いっきり吸って、息をつく暇もなく言葉を並べた。
「お前、馬鹿か?そっか、馬鹿だったか。お前となんか、誰が付き合うってんだよ。汚ねぇ心を持ってるお前なんかと付き合う訳ねえじゃんか。…ったく、何の話があるかと思えば。時間無駄にした。」
顔はよく見えない。
でも、きっと無表情のまま話しているのだろう。
だって、私には出したことがないとても冷たい声なんだから。
「…ったく、美咲はまだ来ねぇのかよ。話したかったのになぁ、、。」
蛍斗くん、、。
ありがとう、、、、。
私は、声を出さないように、そっと泣いた。
涙が収まったら、もう一度覗いた。
三原さん達グループは皆動揺している。
―えっ!嘘だろ、、?
―そんな、可愛いのにどうして、、。
―今まで断る人っていた、、?
―うわぁ、、。
「あ、あなた、正気?だって、このわたしと付き合えるのよ!?」
三原さんは相当驚いているのか、もう一度聞き直している。
「正気だよ。お前は顔が良くて頭も良いから完璧だと思ってるみたいだがそれは違う。心の中が大切なんだよ。綺麗な心を持っていないのに、何が完璧なんだよ。」
蛍斗くんは胸を叩いて示した。
聞いているうちに三原さんの顔がとても赤くなっているから、かなり怒っているみたい。
大丈夫かなぁ、、。
「な、何をぅ!」
反論しようとした三原さんの声を妨げ、蛍斗くんは話を続けた。
「ずっと前から気になってたんだ。あんなに心が綺麗で、ちゃんとしている美咲がいじめられてたからな。羨ましかったんだろ、美咲のこと。あんなにまっすぐで、全てが綺麗で、、。それが羨ましかったんだろ?だから、いじめていたんだよな。自分に足りないモノを隠すために。それを持っている美咲が羨ましくて、悔しくて!!」
大声で叫ぶ蛍斗くんは、唇を噛んで何かを我慢している。
そんな顔しないで、蛍斗くん、、。
私を助けようとしてくれてたんだね。
ありがとう―――。
私の頭の中は色んな感情でいっぱいになった。
三原さんも、泣いている。
「でも、でもっ!!う、、う、、。」
泣き真似じゃない、、?
本当のことだから?
だから、反論しないの、、?
もう、、、もう、、。
「今まで、あんなことやって、楽しかったか?自分のほうがいいって、優越感に浸れて、そんなに良かったか?なぁ、、。教えてくれよ、、。」
蛍斗くんは何故だか泣いている。
「う、うぅ、、。ごめん、、。ごめんなさい、、。許して、、。お願いします、、。」
三原さんは、もう反省したようで、子供のように何度も何度も謝罪を述べている。
それでも、蛍斗くんは硬く握りしめた拳を震わせている。
蛍斗くん―――。
もう、もう、、。
「美咲の心の中はお前のせいでぼろぼろに傷ついてんだよ、、。美咲が、、美咲が泣いてるのを見るのは俺は嫌なんだよ!お前、屑か?泣いて許されるとでも?美咲に謝れよ、、。同じ目に遭えよ…っ!この、、、っ!お前はっ―!!!」
そして、蛍斗くんは力を込めた拳を上げ、怯えている三原さんへ降ろそうとした。
危ない―――っ!!
そう思った時、私の足は勝手に動いた。
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