真実と、その先にあるもの

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真実と、その先にあるもの

放課後、私は蛍斗くんに聞きたいことがあって、いつもの川辺で待ち合わせした。 約束もしていたし。 蛍斗くんは先に川辺にいて、手を振ってくれた。 「今行く!」 そして、蛍斗くんのすぐ傍に立つと、もう空が薄暗くなっていたことに気づいた。 もうすぐ、蛍も飛ぶだろう。 私は何だか懐かしくなって、蛍斗くんに話し掛けた。 「確か、小さい頃、ここでお喋りしてたっけ。何だか懐かしいね。」 「そうだな。」 蛍斗くんは笑顔でそう返した。 でも、疑問に思っていることがある。 「ねぇ、蛍斗くん。なんで貴方、私がいじめられてたこと知ってたの?あと、なんであの時来なかったの?気にしてるんだからね!」 私が頬をぷくぅっと膨らませていうと、蛍斗くんは仕方ない、と言うような顔をしてこちらへ向いた。 その目は真面目な感じで、これから大事なことを話すような表情だった。 だから私もしっかり話を聞けるよう、蛍斗くんの方へ向いた。 すると、蛍斗くんは深呼吸をして、ゆっくり話始めた。 「落ち着いて聞いてくれよ?美咲。俺はな、、。」 ―蛍だったんだ。 「…へ?」 私は(しばら)く返事が出来なかった。 え、えーっと、、? ますます疑問に感じている私を見てか、蛍斗くんはもう一度話し始めた。 「そりゃあ、信じてくんないよな。でも、長くなるが、これは本当の話なんだ。美咲、聞いてほしい。」 そして、蛍斗くんは少しずつ話してくれた。 蛍斗くんは、ずっと昔から、蛍として生きてきたらしい。 何千回も、ずっと―――。 だけど、ずっと蛍には本当はならないはずで、蛍仲間に何でだろうな、とよく話していたらしい。神様の気まぐれ、かもと仲間の蛍に言われたらしいけど。 でも、他の蛍はわからないのに何故か、最初から蛍斗くんは人間の言葉もわかって、興味深いと感じてたみたい。 それである時、蛍の姿でさ迷って、小学校のほうまで行ったらしくて、そこで泣いていた私を見つけたんだって。 何故泣いていたのか蛍斗くんは気になったみたいで、何度も何度も学校に行ってたら、私が靴を隠されたり蹴られたり、といじめられてたのを見たそうだ。 それが三原さんがやっていて、蛍斗くんは殺意を感じるほど心の奥底から怒ったみたい。 …理由は私には教えてくれなかったけれど。 それで、毎晩毎晩蛍斗くんは眠るときに、 人間になれますように、あの子を助けられますように、、、。 って願ってたらしい。 そしたら、何故か夢の中で髭を長く生やした仙人みたいな人が、話しかけてきたって。 『わかった、わかった。お前は昔からあの子のことになったら欲張りじゃのぉ。じゃあ、お試し期間として、一週間だけ人間にしてやろう。日没から0時までな。お前の名前は夏川蛍斗だ。まぁ、頑張りなさい、、、。』 そしたら、次の日の夜、いつものように川で飛んでいたら、急に全身が光って、気が付けば人間になってたって。 信じられないなぁ、、。 でもここにいるし、蛍斗くんは嘘はつかないだろうから、本当なんだろう。 しかも、裸じゃなくて、服着てたみたいだけど。 ま、良かったよね。 それで会うのはつらい、、。 まぁそれで、川辺をほっつき歩いてたら、私に会ったんだって。 それで、何で居なかったかというと、お試し期間が終了したからだとか。 それでも、蛍斗くんは蛍の姿で、私に見えるように思いっきり光らせてたらしい。 全然気づかなかった私は馬鹿だ、、いや、元々馬鹿だ。
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