鈴木と飛島

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鈴木と飛島

 1年の鈴木は、このオカルト研究部における自分の立ち位置を理解した。 (部長と飛島(とびしま)くんは勘で動く人だ、この白猫探しはきっと失敗に終わるだろう。だが失敗に終わらないために自分にできることだけはしてみよう)  鈴木は組織の中で自分の役割を見つけようとする健気なサラリーマンのようだった。  帰宅後、自宅で鈴木は次にするべきチェックリストをパソコンで入力し、坂下町のマップも購入した。どこを探してどこが未だなのか印を付けていくつもりだった。 「恋愛成就の白猫探し」行動リスト 20XX.5.01 <白猫に花をもらった人へ取材> □大鳥女子高等学校の生徒への取材 □片想いが両想いになった人への取材 □40歳のお見合いがうまくいったの人への取材 <白猫出没場所のチェック> □取材から洗い出した場所の記入 □SNSなどから白猫の目撃情報を収集 □歩いてそれらしき白猫を見つける  正直、こんなリストを作成していることがバカバカしかった。白猫探しが一体何になるというか? どうやって探そうというのか?!  放課後、部長の稗田と飛島にリストとマップのことを告げ、部室のテーブルに広げて見せた。これで2人とも自分たちの無計画を少しは改めてくれるだろう。 ーーが、予想に反しバカバカしいリストを真面目に作ってきた自分が愚かしく思える応えがかえってきた。 「リストまで作ってくれてありがとう。鈴木くんは白猫の(ほこら)の話を知らなかったのですね。  もちろんリストやマップも活用させてもらいますが、せっかくですのでオカルト研究部らしく昔々の白猫の伝説のほうから調べてみませんか?」  部長が祠について知っているのは納得がいくが、飛島まで伝説を知っていようとは…。こちらが感じている小さなライバル心など気にもとめない様子で、飛島は無邪気にこちらを向いて、首を縦に振りうんうんとうなずいていた。
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