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炭酸の抜けたサイダー
またか、と思った。頬の痛みも刺すような視線も、もう慣れた。
「ちょっと可愛いからって、人の彼氏に手を出すなんて、最低!」
「……ちょっとじゃないでしょ。あたしってほら、すごく可愛いから」
つい煽るような返事をしてしまって、反対の頬にもう一発ビンタをお見舞いされた。頬よりも痛いのは、心のほう。あたしだって好きで彼女持ちの男と付き合ってたわけじゃない。
いつもそう。あたしのこと好きって言ってくれた男は、あたし以外の女の子にもそういうことを言ってて、大体あたしは二番目で、それを知らされるのは本命の彼女から。もうそうなったときには彼とは連絡が取れなくなってることがほとんど。
どうしてこうなっちゃうのかな。あたしだって普通に恋がしたい。それってそんなに難しいことなの?
今回は彼も彼女もあたしもみんな同じところでバイトしてるっていう、狭すぎる世界の三角関係で。彼女のいる男に手を出したってことであたしだけが悪者にされて、即刻クビになった。納得いかないけど、こんなとこに居続けたくもないし、寧ろこれでよかったなって思ってるけど。
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