決勝のステージ

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少し寒さが増してきた11月のある日、私は理公に誘われて居酒屋で飲んでいた。 そこは理公とよく行く個室の居酒屋で、私達2人はまずはビールで乾杯した。 社会人1年目の理公は、会社の仕事にもやっと慣れてきたようで、生活にも少し余裕ができてきたようだ。 そんな理公が、私に意外なことを言ってきた。 「千明、実はお笑いのネタ考えてみたんだけれど見てくれる?」 私は少し驚いたけれど、 「う、うん、見てみたい!」 と言って、理公のネタを見てみることにした。 理公は1冊のノートを取り出して私に渡してくれた。 そこには、お笑いのネタがぎっしり書かれていて、よく読んでみると面白いネタも多くて、理公はいつの間にこんなにお笑いのネタを考えたのだろうかと私は感心してしまった。 「理公は、お笑い芸人になりたいの?」 私が恐る恐る聞いてみると理公は、 「いや、僕はお笑い芸人になるつもりは、これっぽっちもないよ!」 と笑いながら答えてくれた。 「じゃあ何故、こんなにお笑いのネタ考えてるの?」 私が疑問をぶつけると理公が、 「千明に使ってもらえないかと思って…  いや決して千明のネタが面白くないと思っているわけじゃないんだよ!  千明のネタに僕のネタが加われば、もっと面白くなるような気がして…」 と少し遠慮しがちに話してくれた。 私には理公が私のことを心配してくれて、頑張ってこんなネタ帳を作ってくれたことが理解できて、そんな理公の気持ちが私はとても嬉しかった。
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