決勝のステージ

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寒さが厳しくなってきた12月のある日、私がアルバイト先のコンビニでお昼休み休憩に入った時に、実家の母から私のスマートフォンに電話連絡が入った。 「今日おとうさんが急に倒れて、天国に行っちゃった!」 この連絡を受けた私は、アルバイト先のコンビニの店長に事情を説明して早退させてもらい、急遽5年ぶりに静岡の実家に帰省した。 父の遺体は実家に運ばれていて、顔に白い布がかぶせられていた。 「千明、おとうさんの顔を見てあげて…」 母から言葉をかけられた私は、白い布をそっと持ち上げて父の顔を見た。 その時の父の顔は、私には何となく優しい顔に見えた。 「おとうさんは、どうしたの?」 私が母に質問すると母が、 「おとうさん、自宅で倒れて救急車で病院に運んだんだけれど、脳内出血で助からなかったのよ…  死因は脳梗塞だそうよ!」 と父のことを教えてくれた。 私は高校を卒業した時、お笑い芸人になりたいと両親に伝えたが、父からは猛反対されて勘当されるように私は実家を飛び出した。 その後母は私の事を心配して時々私に電話をかけてくれたが、この5年間父とはまったく話すことはなかった。 翌日の夕刻から通夜が執り行われ、通夜を終えて通夜振舞の席で、私は母に話をした。 「おかあさん、毎月いろいろ送ってくれてありがとね!」 私が母に話をすると、母は何の話かときょとんとした表情で、 「私、千明に何か送ったっけ?」 と逆に質問されてしまった。 「毎月送り主が、おかあさんの名前で、タオルとかの日用品とか野菜、缶詰、インスタントラーメンが届いているんだけどね!」 と私が答えると妹が、 「そういえばおとうさんが段ボール箱に何か詰め込んで、車で出かけるのを何度か見たことがあるよ!」 と教えてくれた。
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