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中学二年の夏だった。
試合中の不運な事故だったって、わかってる。でも、あれから恐くなってコートから逃げた。
小学生の時にアニメ見てハマって、親父にボールとシューズを買ってもらった。そんなありきたりの切っ掛けだったからな。終わりも情けないくらい呆気なかった。
ゴール下、シュートに飛んだ俺を、ブロックしようとした相手選手が、汗で滑った。バランスを崩した奴の上に、俺が着地しちまったんだ。床とは違うモノを踏んだ感触、相手のうめき声と観客の悲鳴、ボールを飲み込むネットからゆっくりと体育館の天井のライトと視界が移り、腰への衝撃、ゴールを決めたはずなのに、青ざめたチームメイトの顔。
相手選手は、足の骨が折れていたと後で聞かされた。
多分、あの日から俺の時間は止まっちまったんだと思う。
いっその事、俺が怪我してたらカッコもついたのにな……。
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