桃香の観劇日

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桃香の観劇日

 待ちに待った桃香の観劇日がやってきた。  違和感を感じない、素晴らしい舞台だった。  セットが崩れた演目に差し掛かる際、桃香は普段以上に緊張しており、両手を胸の前で握りしめ、祈るように舞台に見入っていた。  崩れたセットは修復されながらも、前よりもリスクの少ない小さなものとなってはいたが、まるで違和感がなかった。  終演後のカーテンコールでは、事故があった話が改めてされ、事故のことや心配をかけたことを海里が矢面に立ち謝罪しながら、怪我をした人たちの回復を願う言葉が述べられた。  その都度会場から拍手が起きた。  挨拶が終わるとお客さんたちも立ち上がり、盛大なスタンディングオベーションがわき起こったー……  桃香も精一杯拍手をしながら、目には涙が滲んでいたー……  いつまでも、いつまでも拍手をしていたかったー……  何度でも「ありがとう」と伝えたかったー……  幕が下りても、ずっと、ずっと、ずっと桃香は拍手を続けていたー…………
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