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大学構内の後方の席に座って、何列も先でホワイトボードの前に立つ教授をぼんやり眺める
俺はその日何度目かの、深いため息をついた。
何も頭になんか入って来ない。
〝あれから〟、俺はほとんど毎日の様に浅科さんの家に行く様になった。
あの日、真木に殴られて切れた頬の内側や、
机に打ち付けた肩、脇腹も、もうどこに傷があったのか分からないほどになった。
日数にして、約三週間ほど。
自分の予定が全部終わって、なおかつ浅科さんも仕事が終わる頃に家に行って、
二人で晩飯を食べるのが、新しい日常になってきている。
あの人は基本的に料理が得意で、いつも手料理を振舞ってくれる。
本人は〝これくらい普通だ〟と言うけれど、カップ麺にお湯を注ぐくらいしかしない俺からすれば、充分、料理上手だと思う。
だいたい、俺の家の冷蔵庫なんかスカスカでほとんど食い物なんか入ってない。
どこかで、食事にマメな男は、女にもマメだとか、そんな事を聞いた気がするけど、
まさにそうなのかもしれない。
俺は女じゃないし、
まだその〝マメさ〟を実感する出来事も経験してないけれど。
いや、毎日の様に晩飯を作ってもてなしてくれるのは充分、マメって言うんだろうか。
お互い、〝好きかもしれない〟と打ち明け合って、キスをしてから約三週間。
平日はほとんど毎日、週末も会っているのに、キスしかしてない。
キスだって、俺から迫ってる様なものだ。
そして、終電の時間が来るまでには帰される。
これって、普通に考えてどうなんだ…?
一般的にどうなんだ…。
最近の俺は、そんな事が頭から離れなくて、高校時代、つまり昔を思い返したりして、ぐるぐると悩んでいた。
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