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昔、と言っても、そんなにあるわけでもない経験を思い返しては、 〝普通〟の〝お付き合い〟ってどういう物だったっけ? と思考を巡らせるけれど、そもそもそんなに経験値がある訳でもなく、 結局は自問自答してぐるぐるするだけ。 「…ま、…おい、…」 ふいに何か聞こえた気がして、はっとした。 「…川島、おいって」 「えっ、あ、……」 隣の席に座った〝友人〟、というか〝悪友〟と言うべきか、そんな存在の駒場がジト目で俺を見ていた。 「お前何しに来たんだよ」 「…は?何って…講義取りに」 「ろっくに聞いてもねぇくせに…」 頬杖を付きジト目で俺を見ながら、小声でそう言う。 「お前には言われたくない。」 「っるせぇな、少なくともお前よりはマジメに聞いてるっつの。」 たった今俺に話しかけてる奴が良く言う。 ため息を一つつき、駒場が続ける。 「お前、最近何なの?」 「……何が、」 ホワイトボードに視線を移して、講義を聞く振りをしながら駒場に相槌を打つ。 「いっつもなんかシケた面して考え事しててさぁ。…こっちまで滅入るっつの。」 「……。」 シケた面、 俺、そんな顔してたのか。 「なんかあんならさ、いい加減話せよ。飲みにでも行ってさぁ。」 「お前が飲みたいだけじゃん、それ。」 一瞬、駒場にも気遣いなんか出来るのか……と思いかけたけど、 〝飲みに〟という言葉で魂胆が分かった。 「とにかくさ、まず飲み行こうぜ、飲み!」 「……めんどくせぇ」 「良し、決まり!ちょうど今日金曜日だし、この講義終わったらな。場所探すから。」 半ば無理矢理進む話に、俺はまた何回目かのため息をついた。
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