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プロローグ
☆☆☆
カツリカツリと静かな城に一つの足音が鳴る。
長く黒いマントを羽織り、頭には角。その姿はまさしく『魔王』そのものだ。
ひとつ変わった所を上げるとすれば、その男は何故か遮光性の高いサングラスをかけていることだろうか。
「はぁ~……」
その男は魔王には似合わない深く暗い溜め息を吐いた。
男の足が玉座の前で止まる。
王様が座るのとはまた違う、禍々しいオーラが出ている玉座だ。
男はそれによっこらしょ、と魔王らしくない声と共に腰かけた。
「どーすら良いんだ…」
男は困ったように頭を抱える。
そう、今、この男には最大の難関が降り注いでいたのだ。
「このままだと…
魔界が人間に占領される」
男は遠くを見る目で、一人そう呟いた。
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