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 母が私に背を向けた時、つまり私がクロエと街灯の横に取り残されるとわかった時、突然今まで経験したことがないような不安が私を襲った。 「ママ!」  私は呼び止めて、母は振り返った。 「なあに?」 「もし、ぼくに何かあったらどうしたらいい?」 「何かって?」  幼い私には、漠然とした不安を感じている理由がわからなかった。 「ぼくがもし襲われたら?」 「襲われる?何に?」  私を襲う怖いものとは・・・なんだろう? 「えっと・・・例えば・・・」 「例えば?」  私がとっさに思いついたのは、ネコ科の大型肉食獣だった。 「トラ!」
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