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そして、私とクロエは取り残された。
クロエはお利口にきちんとおすわりをして、スーパーマーケットの入り口をじっと見ている。
「ママは5分って言ったよね?」
クロエに確認すると、私はストップウォッチをアラームモードにしてスタートさせた。
5:00・・4:59・・4:58・・
だんだん不安がよみがえってきた。クロエの耳がピンと立って、鼻がクンクン動いている。クロエが低く唸り始めた。公園の方から、大きな動物がゆっくりと現れた。最初は大きな犬、近所のロットワイラーのように見えたが、近づくにつれて犬ではないことがわかってきた。体長は3mほど、黄褐色で黒い縞模様・・・トラだ!
私はリードを離すと、スーパーマーケットの朝市のキウイフルーツを2つ手に取った。トラが十分近づいたとき、ひとつめのキウイフルーツをトラの目の前にトスした。トラはムシャムシャと食べると、地面に寝転んでデレデレになってもがいている。トラは私の手にもうひとつキウイフルーツがあることに気づくと、起き上がり、近づいてきた。私は今度はオーバースローで出来るだけ遠くにキウイフルーツを投げた。トラはそれを追いかけて走って行った。
〜ピピピッ〜
そのときアラームが鳴った。5分たったのだ。だが、母は戻って来ていなかった。私はもう一度アラームを5分にセットした。
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