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海といえば、いつかのために用意していた服があったことを思い出す。そのいつか、がこんな深夜に呼び出されて叶うとは思いもよらなかったが、逆に好都合かもしれない。
だって、私にしては露出度高め。普段なら絶対に履かないホットパンツ。
「明日香先輩しか見ないなら、まあ……」
今思えば、なぜそれを買ったのかわからなかった。ただその時は、先輩の喜ぶ顔が思い浮かんだのだと思う。
恥ずかしさを隠すためにそそくさと着替えて、私は部屋を後にした。下に降りると明日香先輩はもう着いていて、こちらに気づくと手を挙げて合図をくれた。なにせ先輩の家から私の家までは車で五分もかからない。信号をいくつかくぐり抜けたら着く距離だ。
車に入ると、外の暑さと打って変わって程よく涼しい空気とメロウな音楽が流れてきた。夏の夜にぴったりなドライブミュージックをかけるところまではいいのだが、明日香先輩は私の格好を見るなり、
「詩織ちゃん、キスしていい?」
と雰囲気台無しな一言を放った。
「先輩、目が獣になってますよ」
「だって〜普段スキニー履いてるような愛しの子が急にホットパンツで来たらそりゃ獣にもなるよ」
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