邂逅というより仕組まれた再会

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「じゃあ明日は詩織の家でお泊まりね」 「明日香が世話になるね、詩織ちゃん。香織さんにもよろしく言っておいてくれ」 「はい。母も先輩に会えるのを楽しみにしているみたいです。連れて来いってうるさくて」  あまりかしこまりすぎないように軽くお辞儀をする。親しき仲にも礼儀あり、という言葉が私は好きだ。お世話になっている以上、感謝を伝えるのに礼儀は大切だと思っている。  香織というのは私の母で、母さんとおばさん––––明日香先輩のお母さんは旧来の仲らしい。私が物心ついた時からすでに二人は知り合いで、だから明日香先輩も物心ついた時から側にいた。  私たち柊木家と先輩たち立花家は、そんなこんなで昔から家族ぐるみの付き合いをしている。母さんにとっても先輩は娘のような存在らしく、「明日香ちゃんの第二の母よ」なんてことをよく話していた。 「それじゃあ、行こうか。荷物持つよ」  おじさんが私たちに向かって手を伸ばす。二人分のスーツケースを持って歩くつもりらしい。近くに車を止めてあるとはいえ、さすがに申し訳なかったので断った。 「おじさん、相変わらず優しいですね」
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