プロローグ

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プロローグ

 退屈だ。ただひたすらにこの世界は退屈で仕方がない。  何か退屈しのぎになりそうな刺激的な出来事はないかと探してみたりしたが、そんなものは無いのだと1日足らずで理解できてしまった。  それはそうだ。この世界がつまらないのだから当然のことなのだ。  生まれてから17年。退屈で理不尽な世界を悟るには早すぎる年であろう事は俺にもわかる。知ったかぶりをしているだけだと言いたければ好きなだけ言うがいい。そんなことを言う大人どもこそ嘘を吹き込まれ知ったかぶっている愚者共だ。まともな大人などいない。よっぽど俺の方がまともだ。それがわからない同級生共も愚か者である。  こんな愚者ばかりの場所に居場所などあるわけもなく、俺は常に人目につかない場所を探し求めていた。  色々と探し周り、最終的に立ち入り禁止の屋上に侵入する事で落ち着いた。教室からは少々遠いがそんな事は気にするほどでは無い。面倒臭さより退屈を消化することの方がよっぽど苦痛であるからだ。  かつてはなんでも面白がって馬鹿みたいに遊んでいたものだなと懐かしんではみたが、だからといって何かが変わるわけでもない。昔に戻れるわけなどないのだ。  タイムマシンなんてそんなものはできやしない。タイムマシンなんてものができればいいなとか言っている奴は先の見えていない過去にとらわれた奴の妄想だ。 「そりゃお前だ」  どこからかそんな声が聞こえた気がした。  
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