愛しあいたい

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「俺も、いれたい」  汗で湿ったシャツを首から抜いて放り投げ、ベッドサイドにしまっておいたいつの物かわからないローションをベッドに転がす。とっくに緩めてあったチャックの下から俺のを取り出すと、そのあまりの膨張具合に凛久が目を見張った。  「恥ずかしいからあんま見ないで……」と言いながら、凛久の肩を押してベッドに横たわらせる。凛久も焦れたように足で下着ごとズボンを蹴り飛ばしていた。  ぐっと足を押しあげ、彼の上に乗りあげる。汗で濡れた胸を合わせると、凛久の忙しない鼓動が伝わってきた。柄にもなく俺も緊張しているのが、伝わるだろうか?  触れ合った下腹部をこすりつけるように腰を揺らすと、ビクッと凛久は体を強張らせた。  ちゅっとキスをおとして心配ないんだと伝えると、凛久も涙で膜の張った目をすこし和らげる。俺はその目を見つめながら体を起こすと、おもむろにローションを手に取り、彼の後ろに指を這わせた。  柔らかくほどけていたそこは、容易く指を飲みこんでいく。 「んっ、も……大丈夫だから」  いくらも動かさないうちに言う凛久は、男と交わることに慣れた自分を恥じているようだった。 ――そんな顔することなんて無いのに。  俺は何ともやりきれない思いで、十分に重くなったものを彼のそこにクチクチと押し当てる。いよいよ入ってくると目を閉じ息を吐いた凛久は、だがそれ以上俺が動かないのを不思議そうに目を開けた。  俺だって早く入りたい、あったかい中を味わって思う存分に突きあげたい。だけど――。 「今度は、凛久の番だよ」 「? ……なに?」 「言葉にして。俺に言って……」 「……っ! いま?」  顔を真っ赤に染めた凛久は、両腕をあげて顔をおおった。  そんなんじゃ逃げられない。俺はグッと腰を突き出して、ぬかるんだ凛久の中に張り出した頭を突き入れた。 「ひやぁッ!」  ビクリと体を強張らせた凛久から、素早く腰を引く。つぽっと抜けたそれに、名残惜しそうに凛久の入口がまといつく。 「……あ、……ああっ……」  不意打ちの強い刺激にビクビクと震える凛久を見おろし、もう一度言った。 「凛久……俺にも愛の言葉ちょうだい」  凛久の顔に甘えるように鼻の頭をすりつけ、優しくキスをおとす。  俺はもう拒んだりしない。ちゃんと受け止めるよ。だから――。 「……っ、き……」 「ん?」  涙でにじんだ凛久の瞳を覗きこむ。 「……すきだよぉ」 「うん」 「イチスケさんが、ずっと。ずうっと、好きなんだよぉ……」 「うん」  泣きながら駄々っ子のように訴える凛久の頬に、俺は笑って唇を落した。  そして一息に腰を進めると、凛久の奥深くまで入りこんだ。 「ぁああああっ!」  悲鳴のような感極まった声があがり、腹の辺りに生ぬるい感触がして、凛久がいったのを知る。だが、止まれない。入れた途端柔らかくしっとりと吸いつくようなのに、容赦なく絡みついて搾り取ろうとする中の動きに、俺は夢中になっていたからだ。  こんなの、知らない。やばい、最高だ。  容赦なく揺さぶる俺に抗議することもなく、凛久は両手で俺の首に必死でしがみついてきた。 「……あっ……すき、すきっ! ぁあんッ、すきだよ。すき、すきぃ!」  まるでせき止められて来た思いを全て出し切るみたいに、凛久は言葉をこぼし続ける。  愛しさがこみあげて、俺は彼の唇にむしゃぶりついた。吐息を奪われても『好き』と言い続ける彼に、俺も言わずにはいられなかった。 「凛久……好きだ。りく、んっ……待たせてごめん。もう君の気持ちを疑って、傷つけたりしない。だから、俺のものになって」  そうして俺たちは、上も下も溶けあいながら――はじめて愛しあった。
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