748人が本棚に入れています
本棚に追加
「俺も、いれたい」
汗で湿ったシャツを首から抜いて放り投げ、ベッドサイドにしまっておいたいつの物かわからないローションをベッドに転がす。とっくに緩めてあったチャックの下から俺のを取り出すと、そのあまりの膨張具合に凛久が目を見張った。
「恥ずかしいからあんま見ないで……」と言いながら、凛久の肩を押してベッドに横たわらせる。凛久も焦れたように足で下着ごとズボンを蹴り飛ばしていた。
ぐっと足を押しあげ、彼の上に乗りあげる。汗で濡れた胸を合わせると、凛久の忙しない鼓動が伝わってきた。柄にもなく俺も緊張しているのが、伝わるだろうか?
触れ合った下腹部をこすりつけるように腰を揺らすと、ビクッと凛久は体を強張らせた。
ちゅっとキスをおとして心配ないんだと伝えると、凛久も涙で膜の張った目をすこし和らげる。俺はその目を見つめながら体を起こすと、おもむろにローションを手に取り、彼の後ろに指を這わせた。
柔らかくほどけていたそこは、容易く指を飲みこんでいく。
「んっ、も……大丈夫だから」
いくらも動かさないうちに言う凛久は、男と交わることに慣れた自分を恥じているようだった。
――そんな顔することなんて無いのに。
俺は何ともやりきれない思いで、十分に重くなったものを彼のそこにクチクチと押し当てる。いよいよ入ってくると目を閉じ息を吐いた凛久は、だがそれ以上俺が動かないのを不思議そうに目を開けた。
俺だって早く入りたい、あったかい中を味わって思う存分に突きあげたい。だけど――。
「今度は、凛久の番だよ」
「? ……なに?」
「言葉にして。俺に言って……」
「……っ! いま?」
顔を真っ赤に染めた凛久は、両腕をあげて顔をおおった。
そんなんじゃ逃げられない。俺はグッと腰を突き出して、ぬかるんだ凛久の中に張り出した頭を突き入れた。
「ひやぁッ!」
ビクリと体を強張らせた凛久から、素早く腰を引く。つぽっと抜けたそれに、名残惜しそうに凛久の入口がまといつく。
「……あ、……ああっ……」
不意打ちの強い刺激にビクビクと震える凛久を見おろし、もう一度言った。
「凛久……俺にも愛の言葉ちょうだい」
凛久の顔に甘えるように鼻の頭をすりつけ、優しくキスをおとす。
俺はもう拒んだりしない。ちゃんと受け止めるよ。だから――。
「……っ、き……」
「ん?」
涙でにじんだ凛久の瞳を覗きこむ。
「……すきだよぉ」
「うん」
「イチスケさんが、ずっと。ずうっと、好きなんだよぉ……」
「うん」
泣きながら駄々っ子のように訴える凛久の頬に、俺は笑って唇を落した。
そして一息に腰を進めると、凛久の奥深くまで入りこんだ。
「ぁああああっ!」
悲鳴のような感極まった声があがり、腹の辺りに生ぬるい感触がして、凛久がいったのを知る。だが、止まれない。入れた途端柔らかくしっとりと吸いつくようなのに、容赦なく絡みついて搾り取ろうとする中の動きに、俺は夢中になっていたからだ。
こんなの、知らない。やばい、最高だ。
容赦なく揺さぶる俺に抗議することもなく、凛久は両手で俺の首に必死でしがみついてきた。
「……あっ……すき、すきっ! ぁあんッ、すきだよ。すき、すきぃ!」
まるでせき止められて来た思いを全て出し切るみたいに、凛久は言葉をこぼし続ける。
愛しさがこみあげて、俺は彼の唇にむしゃぶりついた。吐息を奪われても『好き』と言い続ける彼に、俺も言わずにはいられなかった。
「凛久……好きだ。りく、んっ……待たせてごめん。もう君の気持ちを疑って、傷つけたりしない。だから、俺のものになって」
そうして俺たちは、上も下も溶けあいながら――はじめて愛しあった。
最初のコメントを投稿しよう!