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遠くから、何か聞こえてくる。微かに鼓膜を撫でるその音が、スマホから鳴るアラームだということを、ぼーっとした頭で何とか理解した。
寝そべって布団を被ったまま、何とか手だけ伸ばしてスマホを取り寄せ、全身全霊でスヌーズボタンを押す。そしてまた力を抜いて、ベッドに体を沈ませた。
「ぁと、5分…」
私の覚束ないセリフに、全くそぐわない合いの手が勢いよく被さってくる。
『5分のご依頼、承りました!』
溌剌とした熱気溢れる滑舌が鬱陶しい。しかも、その声はまだ続く。
『5分間、何をお望みですか?!』
「……寝たぃ…」
『5分間の休眠、いただきました!』
いただくのはお前でなく私だ……脳内でそう呟きながら、私は意識を手放した。
その後、死ぬ気で支度したのは言うまでもない。
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