妄想彼女

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 鬼のように自転車を漕ぐ私の横には、私以外には見えないらしいモノが付いてきている。  1ヶ月ほど前に私の部屋に現れた、自称神様だ。五分神(ごふんしん)と名乗ったその子は、身長が私の腰くらいまでしかなく、頭身の低い幼稚園児な外観だった。小汚い短めの浴衣とボロい草履を身に付けている。これから寒くなる季節なのに、ずっとこのままなのだろうか。  いかにも表層だけの胡散臭い笑顔はとても子どもには見えず、性別もはっきり分からない。  その神曰く、 『あなたの願いを、5分間叶えます!』  願いを叶えると言われた当初は、当然、浮かれに浮かれまくって、思いつくままに願いを重ねた。それは全て叶った。  そして、5分後に元に戻った。
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