序章 四色の来訪

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序章 四色の来訪

 K県立霜ヶ溝(しもがみぞ)高校。  給水塔が並ぶ狭い屋上。  普段は鍵がかかって入れない筈だが、現在この場所に三つの人影がある。  三つというか、三色の少年の影がある。  ちなみに鍵は破壊されている。  というより、扉ごと破壊されている。  まるで爆発でもあったかのように、ドアはひしゃげて屋上に転がっている。扉枠は黒く焼き焦げている。 「あいつ……うまくやったみたいだな」  三色の影の内、赤色少年が言った。 「それじゃあ、いこうか。なにせボクらは礼儀知らずだから」  三色の影の内、緑色少年が言った。 「…………ほざけ」  三色の影の内、白色少年が言った。  白色少年はその後、細かい塵となって跡形もなく消えた。 「さあて、今回は何人見つかるかな」と赤色少年。  間もなくして、うす暗い空間が屋上の上空に生まれ、ゆっくりと校舎を包み始めた。  これにより、同高校は領域に吞み込まれたのだった。
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