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12(おととななな作)
四十八手とは、性行為における性交体位の種別を表したもの。
江戸四十八手とも呼ばれ、裏も合わせると実質九十六手ある。
淫花廓の男娼なら皆知っていることだ。
「知っていたか?あれを制覇できれば筋トレなんかしなくてもじゅうぶん鍛えられる」
「本当ですか!?」
紅鳶の言葉にアオキは再び前のめりになる。
アオキの目が輝いたことに紅鳶は口元に笑みを浮かべると腕組みをした。
「あぁ。体位を全部思い出してみろ」
アオキは以前散々学ばされたセックスの体位を思い出した。
確かに中にはアクロバティックな体位がいくつかある。
それによく考えればセックスは結構な運動量を伴うものだ。
日常生活では使わないような筋肉も沢山使う。
効率よく筋力をつけるためには有効的な運動なのかもしれない。
そう思ったアオキは三つ指を揃えると真剣な面持ちで頭を下げた。
「ご教示お願い致しますっ!!」
「先ずはそうだな。鶯の谷渡りなんてどうだ?どんな体位か言えるか」
「はい。えっと、仰向けになった受け手に攻め手が覆いかぶさり手を使わずに唇と舌で愛撫する…です」
「それじゃあやってみようか」
「え? え? 今ですか」
紅鳶は戸惑うアオキを引き寄せると、首筋に舌を這わせた。
「あ…っぁ…」
途端に甘い空気に包まれて、アオキは白い喉を反らして喘ぐ。
「俺は手が使えないからな、自分で脱いでみろ」
アオキの身体を優しく畳へと押し倒しながら紅鳶が甘い声で命じた。
「は…はい」
アオキは躊躇いながらも帯を解いていく。
しかし、その間もずっと紅鳶の唇が肌に吸いつきながら赤い痕をあちこちにつけるものだからなかなか進まない。
「あっ…んっ…」
「お前は本当にどこもかしこも甘いな」
そんなアオキの姿に満足げな笑みを浮かべながら、紅鳶がうっとりとした声色で囁いてくる。
アオキはもうそれだけで軽くイってしまったような気がした。
ビクビクと身体を跳ねさせながらようやく帯を解き着物を腕から引き抜くと、露わになったアオキの裸体に紅鳶の視線が注がれる。
この瞬間はいつも恥ずかしい。
しかし、決して嫌なわけではなくむしろ恥ずかしさの中に被虐に似たものを感じる。
これからアオキをどうしてやろうかとギラつくこの逞しい雄に、何もかもを支配され全てを捧げたいという欲求だ。
男臭い笑みを浮かべた紅鳶の唇が胸に落ちてくる。
その唇はアオキの薄い胸を滑ると、赤く熟れ硬くなった粒に標的を定めた。
ぬるんとした生温かい感触に包まれて、アオキは身体をびくりと震わせる。
これまで散々弄られてきたアオキのそこはもうすっかり性感帯の一つだ。
舌先でくすぐられつつかれ、転がされて、アオキは足をもぞもぞとさせながら擦り合わせた。
太腿の内側では、熱を持った股間が涎を垂らし粘ついた体液を滲ませている。
「あ…っあぁっ、うっ…」
紅鳶の愛撫に正直に応えてしまう自分の肉体が恥ずかしくて、アオキは必死に股間を隠そうとした。
しかし、すかさず紅鳶に窘められる。
「隠すな。足を開いて両膝を立ててろ。これは運動前のストレッチにもなる」
紅鳶の言葉にアオキはハッとした。
そうだ、これはセックスでもあり筋トレでもある。
貴重な時間を割いて紅鳶が直々に指導してくれているのだ。
羞恥心など捨てなければならない。
「は…はいっ…っ」
アオキは紅鳶のいう通り、膝を立てた。
「いい子だ」
紅鳶は満足げな笑みを浮かべると、もう片方の粒へと唇を移動させる。
今度は軽く歯を立てられてしまい、アオキは嬌声をあげながら畳から背中を浮き上がらせた。
「そのままだ」
「え? は、はいっ」
突然の静止の掛け声に、アオキは戸惑いながらも素直に従った。
爪先だけで支え、下半身だけが浮き上がった状態。
つまり下半身だけブリッジをしたような体勢だ。
太腿と尻がキツい。
しかも紅鳶はアオキにその態勢をキープさせたまま愛撫を続けるものだから、踏ん張るのに更に苦行を強いられた。
むやみに動けなくなったアオキの胸を行ったり来たりしながら、紅鳶の唇が二つの粒を執拗に弄る。
捏ねられ潰され、舐められ噛まれて…
「ぁ…もう…っもうっ…」
アオキはついに堪えきれなくなると、限界を訴えた。
といっても、限界を迎えたのは性感の方で。
アオキは自らの薄い腹の上に白濁を吐き出した。
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