第2章

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王宮専属魔術師。 それは、数年〜数十年に一度募集される、王族の次に強い権力と名誉を与えられる称号。 この称号を手にするかしないかで、人生が一変するからです。 「早くしてくれよ!」 「こっちは、待ちくたびれてんだよ!」 聞いたことがある声が、その糸を見事に断ち切りました。 先ほどお会いしてしまった野蛮な二人組。 不敬罪で訴えられても不思議ではない殿下への挑発に、誰もがハラハラしておりました。 殿下はふっ、と微笑むだけでしたが。 「待ちすぎて、鳴いてしまっている子猫ちゃんもいるようだから……」 そう言ってすぐ、殿下が両手を掲げると、急に風の波がバルコニー側から押し寄せ、私達の頭上を通り抜けて行きました。 「諸君! これより王宮専属魔術師選抜試験を開始する!」 殿下が宣言したと同時に、門は閉じられ、殿下の背後から風に乗って、無数の紙が舞い落ちてきました。 受験生達は一斉に足元の紙をかき集めました。 しかしそこにあったのは……
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