第1章

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かつて、この世で最も私に影響を与える人に教えてもらったこと。 薪を集めて石を使って火を起こす、川など水辺まで長い時間かけて歩いてバケツ三杯程度の水を汲むなど、行動としてシンプルな生き方を、人々は繰り返してきたと言われています。 コツコツと、同じことを繰り返すだけの、個性がない毎日だったそうです。 しかし、その生き方を続けるには限界を感じた一部の人間達が、自然界の力を借りる=魔術を生み出すことを思いついたとのこと。 炎、水、風、土の四大元素の力と、人々の祈りを混ぜ合わせることで、掌から炎をともすこと、唇から風をおこすことなど……肉体的な疲労や運を伴わずとも、その時その時の「軽い望み」を叶えることに、人々は喜びを覚えたらしいのです。 その術は「適正がある者」にだけ広まり、その者達が力を持つようになったそうです。 そうして出来上がったのが、魔術の力が強い者が権力を持つ魔術国家……今、私が立っている国なのだそうです。
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